近江八景を訪ねて その1
四国からの帰途プラス1泊で近江を訪ねました。
幕末に生まれ大正明治の新聞人漢詩人である大江敬香の漢詩「近江八景」で詠われている琵琶湖周辺の景勝地を見たかったのです。近江八景は歌川広重による浮世絵により広く知られています。
近江八景 大江敬香
堅田(かただ)の落雁 比良の雪
湖上(こじょう)の風光 此処に治まる
煙は帰帆(きはん)を罩(こ)む矢走(やばせ)の渡
風は嵐翠(らんすい)を吹く粟津の洲(しま)
夜は寒し 唐崎 松間(しょうかん)の雨
月は冷たし 石山 堂外の秋
三井の晩鐘 瀬田の夕べ
征人 容易に郷愁を惹(ひ)く
詩に出てくる順番通りに周りたかったのですがロスが大きいのでまず琵琶湖東岸から周りました。
まず矢走(やばせ)の渡し
堆積物で湖岸は随分後退していましたが特別な組み方だという以前の水際の石組みは残っていました。常夜燈の脇の松は枯れ長い年月を思わせます。
次は瀬田の夕べです。遠くに見えるのが「瀬田の唐橋」です。波立つ湖面が夕方の残光で美しく、大学のボート部の学生たちの声が湖面を走ります。
次は石山寺です。紫式部が源氏物語の構想を練ったことで有名なお寺です。近江八景では秋の冷ややかな月の美しさを詠っていますが、訪れたのは夕方で月は見られずしかも時間が遅く拝観も叶いませんでした。
暮れかかる中粟津に周りました。これが大苦戦で湖岸の遊歩道を散歩する地元の方に聞き聞き探しましたが、地元の方も漢詩に詠まれたのがどの辺なのかわからないようでした。この辺りかと思われましたが
矢走で湖岸が後退していたことを思いだし、少し歩いてみますと交差点にそれらしい表示が
それで周囲を見回すと工場らしい建物の敷地内に松の大木が一列に植えられているのを見つけました。確かめたかったのですが聞こうにも人通りは全く無くて諦め、ここがそうだと思うことにしました。